漢方の日々

徒然なるままに

アレルギー性鼻炎(花粉症)と漢方

例年、花粉症の季節になると、鼻水、くしゃみ、鼻詰まりなど、アレルギー性鼻炎に悩まされる方が多くなります。鼻炎症状にとどまらず、瞼の痒み、熱感、顔面の紅潮、涙が止まらないなど、様々な症状を経験します。漢方療法は、こうした症状に特に有効です。各漢方方剤の生薬構成はそれぞれ異なり、目標となる症状も違ってきます。そこで、患者さんの体質(虚実証)、症状の部位、発症からの期間などにより方剤を選択していきます。これら方剤は生薬の構成数も比較的少なく、即効性が期待されます。

文献
1.  太田博孝:漢方薬鑑別キーワード大全 南山堂 2023
2.  高山宏世:腹証図解 漢方常用處方解説(改定版) 東洋学術出版社 2019
3.  秋葉哲生:活用自在の処方解説 ライフ・サイエンス 2009
4.  花輪壽彦:漢方診療のレッスン(増補版) SCOM・020  金原出版 2004
5.  藤平健:漢方処方類方鑑別便覧 株式会社リンネ 1983
6.  https://www.nanzando.com/products/detail/47181

冷え症と漢方

冷え症は、女性に多く経験する症状です。冷えといっても、手足の冷えから腰の冷え、お腹が冷える、手足は冷えるが頭部は逆上せるなど、それぞれ特徴的な冷え症状に分けられます。冷えが強いと、活動性や新陳代謝が低下するため、冷えの程度が進行し、霜焼けや痛みを感じるまでに悪化するという悪循環に陥ります。漢方では特に冷えに特化した方剤が提供されています。冷え症でも身体のどの部分が特に冷えるのか、腹痛はあるのか、手足の火照りや浮腫みの有無など、症状を確認して方剤を選択します。患者さんの体質(虚実証)、血虚や瘀血の有無、などにより、方剤を選択します。

 

めまいと漢方

近年、目眩を訴えて来院される方が増えています。目眩の症状には特徴があります。回転性の目眩か、フワフワした浮動感か、また立ち眩みが主な症状の方がいます。目眩の原因は多岐に亘ります。①メニエール病など、中耳・内耳に問題のある例、②脳内に異常のある例、③低血圧/ 高血圧に由来する例、④貧血や低栄養等 ⑤更年期障害、⑥ストレスや過労 ⑦低気圧の影響、⑧内服する薬剤の種類、等です。そこで漢方治療では、目眩の種類、①から⑧までの有無をお聞きし、症状の内容、体質の程度(虚実証)を確かめながら、方剤を選択していくこととなります。

文献
1.  太田博孝:漢方薬鑑別キーワード大全 南山堂 2023
2.  高山宏世:腹証図解 漢方常用處方解説(改定版) 東洋学術出版社 2019
3.  秋葉哲生:活用自在の処方解説 ライフ・サイエンス 2009
4.  花輪壽彦:漢方診療のレッスン(増補版) SCOM・020  金原出版 2004
5.  藤平健:漢方処方類方鑑別便覧 株式会社リンネ 1983
6.  https://www.nanzando.com/products/detail/47181

感冒と漢方

感冒では様々な症状を経験します。①高熱がでて、悪寒・頭痛や関節痛まである例、②微熱程度で寒気や後頸部の凝りのある例、③水様鼻水やくしゃみが主の例、④発熱はあまりなく、悪寒、倦怠・疲労感や食欲不振などの症状が主となる例、⑤喉に痛みがあり、咳・痰がでる例、⑥腹痛や軟便・下痢など胃腸症状を呈する例、などです。感冒は罹患してから日毎に症状が変化してくることが大きな特徴です。したがって、感冒罹患後からの時期により使用する漢方方剤が異なり、発熱の程度、発汗の有無、発症からの期間、患者の体質(虚実証)、等をみて方剤を決定していくことになります。

文献
1.  太田博孝:漢方薬鑑別キーワード大全 南山堂 2023
2.  高山宏世:腹証図解 漢方常用處方解説(改定版) 東洋学術出版社 2019
3.  秋葉哲生:活用自在の処方解説 ライフ・サイエンス 2009
4.  花輪壽彦:漢方診療のレッスン(増補版) SCOM・020  金原出版 2004
5.  藤平健:漢方処方類方鑑別便覧 株式会社リンネ 1983
6.  https://www.nanzando.com/products/detail/47181

逆上せ(火照り)と漢方

逆上せ(火照り)は中高年の女性に起こり易い頻度の高い症状です。1日のうちに何度も突発性に起きる胸から顔面、頭部方向に向かう熱感です。逆上せ直後に発汗を伴って一旦収まります。しかし、日中の仕事中などに頻回に起きるため、ハンカチを離せない、暑苦しい、下着を何度も取り替える、など辛い症状が続きます。時には夜間睡眠中に頻発し、不眠症の原因ともなります。こうした症状は漢方的に「氣の逆流(上逆)」のためと解釈されます。ヒトの氣は、頭部から足先まで循環していますが、不調になると頭部からの氣が下半身に順調に流れず、逆に頭部方向への流れが優位になるためです。そこで漢方療法では逆流した氣を下半身方向に流す方剤が候補となります。もちろん、方剤の選択には症状、患者の体質、虚実証の程度、血虚や瘀血の有無なども重要な基準となります。

文献
1.  太田博孝:漢方薬鑑別キーワード大全 南山堂 2023
2.  高山宏世:腹証図解 漢方常用處方解説(改定版) 東洋学術出版社 2019
3.  秋葉哲生:活用自在の処方解説 ライフ・サイエンス 2009
4.  花輪壽彦:漢方診療のレッスン(増補版) SCOM・020  金原出版 2004
5.  藤平健:漢方処方類方鑑別便覧 株式会社リンネ 1983
6.  https://www.nanzando.com/products/detail/47181

便秘と漢方

現代生活は利便性に満ちています。とかく運動不足に陥りがちで、食生活の偏りは便秘の主要な原因となります。また、加齢とともに胃腸の働きは低下し、水分摂取不足、過度なストレスなども便秘の原因となります。漢方治療では、体質、虚実証の程度や排便の性状などにより方剤を選択します。漢方薬では方剤に含有される大黄が主要な緩下剤となります。方剤の種類により大黄含有量は異なり、方剤選択の一つの目安となります。

文献
1.  太田博孝:漢方薬鑑別キーワード大全 南山堂 2023
2.  秋葉哲生:活用自在の処方解説 ライフ・サイエンス 2009
3.  藤平健:漢方処方類方鑑別便覧 株式会社リンネ 1983
4.  高山宏世:腹証図解 漢方常用處方解説(改定版) 東洋学術出版社 2019
5.  花輪壽彦 漢方診療のレッスン(増補版) SCOM・020  金原出版 2004    
6.  https://www.nanzando.com/products/detail/47181

膝関節痛と漢方

変形性膝関節症は、加齢につれて膝関節の軟骨が徐々に磨り減り、最終的に膝関節の変形を引き起こす病気です。痛み、膝の運動制限や膝部の腫れなどにより、階段の上り下りが困難となり、膝を曲げれない、伸ばせないなどの症状がでてきます。表に代表的な漢方方剤を列記しました。各方剤はいずれも痛みを和わげる生薬が複数含まれています。痛みに対応するため、防已黄耆湯を主剤に、薏苡仁湯、麻杏薏甘湯や桂枝加朮附湯などを合方することがコツとなります。必要に応じて、附子末を追加することも重要です。

文献
1.  太田博孝:漢方薬鑑別キーワード大全 南山堂 2023
2.  高山宏世:腹証図解 漢方常用處方解説(改定版) 東洋学術出版社 2019
3.  秋葉哲生:活用自在の処方解説 ライフ・サイエンス 2009
4.  花輪壽彦:漢方診療のレッスン(増補版) SCOM・020  金原出版 2004
5.  藤平健:漢方処方類方鑑別便覧 株式会社リンネ 1983
6.  https://www.nanzando.com/products/detail/47181