漢方の日々

徒然なるままに

逆上せ(火照り)と漢方

逆上せ(火照り)は中高年の女性に起こり易い頻度の高い症状です。1日のうちに何度も突発性に起きる胸から顔面、頭部方向に向かう熱感です。逆上せ直後に発汗を伴って一旦収まります。しかし、日中の仕事中などに頻回に起きるため、ハンカチを離せない、暑苦しい、下着を何度も取り替える、など辛い症状が続きます。時には夜間睡眠中に頻発し、不眠症の原因ともなります。こうした症状は漢方的に「氣の逆流(上逆)」のためと解釈されます。ヒトの氣は、頭部から足先まで循環していますが、不調になると頭部からの氣が下半身に順調に流れず、逆に頭部方向への流れが優位になるためです。そこで漢方療法では逆流した氣を下半身方向に流す方剤が候補となります。もちろん、方剤の選択には症状、患者の体質、虚実証の程度、血虚や瘀血の有無なども重要な基準となります。

文献
1.  太田博孝:漢方薬鑑別キーワード大全 南山堂 2023
2.  高山宏世:腹証図解 漢方常用處方解説(改定版) 東洋学術出版社 2019
3.  秋葉哲生:活用自在の処方解説 ライフ・サイエンス 2009
4.  花輪壽彦:漢方診療のレッスン(増補版) SCOM・020  金原出版 2004
5.  藤平健:漢方処方類方鑑別便覧 株式会社リンネ 1983
6.  https://www.nanzando.com/products/detail/47181